最近、エンディングノートを入手して書こうとしたら、どう書いて良いのかわからない…
エンディングノートを購入したけど、書くことが多いのでちょっと書いて挫折した。どうしたら書けるようになる?
本記事は、このように考えている人には参考になります。
終活の中でもエンディングノートは取り組みやすい活動です。市販のエンディングノートを購入して記入すれば、手軽に終活を始めることができるためです。
「エンディングノートは書きにくい」という声もよく聞きます。そこで本記事では、エンディングノートを書く方法について考察します。
本記事の結論は以下です。
- エンディングノートは全部埋めない。書けるところから書く
- エンディングノートは「現時点での希望」だけを取りあえず書く
- エンディングノートは「今日は書いてみよう」というときに書く
- エンディングノートは間違えて書いてもOK。後から修正できる
加えて本記事では、エンディングノートを書く際に気をつけるべきことや、エンディングノートについてのおさらいにも触れました。
エンディングノートを書くための4つの方法
① エンディングノートは全部埋めない。書けるところから書く
一般社団法人 終活協議会 代表理事 竹内義彦氏が推奨する方法は以下です。
私がお勧めしているのは次のやり方です。
①エンディングノートを書き始める前に目次を読む
②目次のなかから「ここは書けそうだな」と思うところを書いてみるこれで良いのです。
出典:幻冬舎、「終活スペシャリストになろう」竹内義彦著 、2021年、p103
つまり竹内氏は、「一度にすべてを書こうとは思わずに、書けそうなところから書けばOK」と言っています。
エンディングノートには「締切日」はありません。いつ書き始めても良く、いつまでに書かなくてはいけない、もありません。そのため一気に書く必要はありません。「書けるところから書く」のは理にかなっています。
竹内氏は、YouTube動画で「エンディングノートを書くときの注意点」を解説しています。非常に分かりやすい内容なのでご覧ください。
② エンディングノートは「現時点での希望」だけを取りあえず書く
例えば重病の告知・延命治療、要介護になったときのそれぞれの希望や、葬儀やお墓の希望などがこれに該当します。考えが固まらないこともあるでしょう。
本人の希望が決まっていなければ、書きようがありません。ではどうすべきでしょうか?
分からなければ空白のままとし、「現時点での希望」があればそれを書いておくことです。エンディングノートは、本人の気が変わったら「あとで修正してもよい」ものです。一度書いたら修正できない、というものではありません。
- 紙のエンディングノートなら
- 以前書いた項目を線で消して、新たに違う項目を書き、日付を入れておきます
- 電子ファイルなら
- 修正して、日付を入れてから印刷して保管します
③ エンディングノートは「今日は書いてみよう」というときに書く
例えば銀行の口座番号、保険証券の内容、年金番号などは調べないと書けません。調べるのは面倒なので、後回しにしている間にいつの間にか書かなくなってしまう、ということもあります。
では、どうすべきでしょうか? それは、気持ちに余裕があるときに、エンディングノートを書く時間を作り、そのときに調べながら記入します。
エンディングノートには締め切りはありませんので、「少し書いてから放置」という状況が発生しやすいです。もちろんそれで良いのですが、少しでも「今日は書いてみようか」という気持ちが沸き上がったら、とにかく書いてみることです。
④ エンディングノートは間違えて書いてもOK。後から修正できる
エンディングノートに書く場合は、「間違って書くことは許されない」と思ってしまう人もいるのではないでしょうか。実はエンディングノートを書くときに、間違って書いてもまったく問題はありません。
間違っても取り消し線で消して、正しいことを書けばOKです。その際に日付を入れておくと良いでしょう。
エンディングノートに関する実態調査
一般社団法人 終活協議会が2020年12月~2021年3月に実施した「エンディングノートについての意識調査アンケート」によると、以下の結果が出ています。(この調査の対象は、終活ガイド検定2級、3級取得者です。)
「エンディングノートを書いていますか?」の質問には、「書いている(9.9%)」「機会があったら書いてみたい(42.9%)」「書いていない(47.2%)」という回答になりました。
一般社団法人 終活協議会 エンディングノートについての意識調査アンケート(2020年12月~2021年3月)
書いている人は10%以下でも、「エンディングノートは必要」と思っている人が多数です。
「終活をするのにエンディングノートは必要だと思いますか?」の質問には、「必要だと思う(90.1%)」「必要な人と必要でない人がいる(9.5%)」「必要ないと思う(0.5%)」という回答になりました。
一般社団法人 終活協議会 エンディングノートについての意識調査アンケート(2020年12月~2021年3月)
エンディングノートの必要性は感じているものの、書いている人はまだまだ少ないという実態が明らかになっています。
エンディングノートを書けない理由は「全部埋めることを目指す」ため
エンディングノートを書けない人が多いのはなぜでしょうか?
終活協議会の竹内義彦氏は、著書「終活スペシャリストになろう」で、以下のように述べています。
実際にエンディングノートを書こうとした人の話を聞くと、その多くが「途中で挫折した」と言います。市販のエンディングノートは書かなければいけない項目が多く、最初の数ページを書いていやになってしまったというのです。皆さん真面目なので、最初の1ページから全部埋めないといけないと思ってしまうのですね。
出典:幻冬舎 「終活スペシャリストになろう」竹内義彦著、2021年 p103
ここに「エンディングノートの書きにくさ」の原因が凝縮されています。突き詰めて考えると、エンディングノートの書きにくい原因は、以下の項目によるものと言えます。
- 書くべき項目が多い
- 考えないと書けない項目がある
- 調べないと書けない項目がある
- 間違いは許されないと思ってしまう
これらが「最初から全部埋めて書かなければいけない⇒書けない項目があるのでしばらくすると放置⇒いつのまにか書かなくなる」という循環につながっていると言えます。
エンディングノートを書く際の注意点
エンディングノートを書く際の注意点を見てみましょう。
- デジタル金融資産のセキュリティ
- オンラインサービス会員
デジタル金融資産のセキュリティ
デジタル資産は以下のようなものがあります。
- パソコン、スマホ、タブレット、クラウドサービスにある写真、動画、ファイル
- オンラインで管理する金融資産(預貯金、株、暗号資産など)
- SNSやオンラインサービスの会員情報
- パソコン、スマホのIDとパスワードをエンディングノートに書いておく
- クラウドサービス、SNSなどの会員情報のIDとパスワードをエンディングノートに書いておく
- オンライン銀行・証券・暗号通貨取引所のID、パスワードはエンディングノートには書かずに、別の紙に書いておき保管する
オンライン金融資産の情報は漏洩すると大変なことになります。銀行のIDやパスワードはエンディングノートに書かずに、別に書いておき保管しておきましょう。
オンラインサービス会員
確認しておくと良いのが、「自分が亡くなったあとはどうしたらよいか」という点です。
Amazon、Google、LINE、Facebook、Twitter、Microsoftなどは利用している人が多いでしょう。本人がいなくなった後にどうするのか、を事前に確認しておきます。
基本は本人アカウントの削除・無効化になりますが、手続きは各社で異なります。
エンディングノートのおさらい
以上、エンディングノートを書く際の方策や注意点を見てきました。ここではエンディングノートのおさらいをしておきましょう。エンディングノートの本質を理解しておけば、書きやすい気持ちになることにつながります。
エンディングノートは、「自分の情報を記録し、かつ自分の希望を記録しておくため」のノートです。
エンディングノートは、以下の特徴があります。
- 法的な効力はない
- どの年齢の人が書いても良い
- 書いたことを修正してよい
- フォーマットに決まりはない
法的な効力はない
遺言書とは違い、エンディングノートには法的な効力はありません。相続についての意思がある場合は遺言で書くことになります。
ただ、エンディングノートには「遺言書の有無」は記載しておくと良いでしょう。
どの年齢の人が書いても良い
エンディングノートは高齢者だけが書くものではありません。自分自身の情報や希望を記録するため、若い人が書いても有益なものです。
エンディングノートを書き始める時期は「早ければ早いほど良い」です。特に高齢者の場合、エンディングノートに記入する場合は 「終活する本人の意識がしっかりしているときに書く」 ことが必要です。
エンディングノートでは「人生の終わりに向けて書く」と言われます。確かにその側面もありますが、そればかりではありません。
書いたことを修正しても良い
前述のとおり、エンディングノートに書いた項目は、都度修正してもOKです。むしろ定期的に見直すべきものです。紙のエンディングノートなら、ボールペンで書いたあとに何度でも修正できます。
エンディングノートが電子ファイル形式で無料配布されているケースもあります。このような場合、パソコンから入力できるので非常に便利です。パソコンに慣れている人なら、記入が手軽にでき、編集も容易なので、手書きよりラクだからです。
フォーマットに決まりはない
エンディングノートは決まったフォーマットはなく、世の中で配布されているエンディングノートの中身はさまざまです。
そうは言っても、エンディングノートでは書く項目はだいたい決まっていますので、どれを選んでもあまり大きな違いはないでしょう。
使いやすくてお勧めのエンディングノート
最後に市販されている書きやすいエンディングノートを幾つかご紹介しましょう。
一番わかりやすい エンディングノート
3,000人の終活セミナー受講者の声をもとに、初めてでもスラスラ書ける 「一番わかりやすい」エンディングノートです。
スタンダードエンディングノート
見やすさ、書きやすさを重視した終活ノートです。 ”中綴じ製本”なので、完全に開いた状態で書き込むことができます。 A4サイズで書きやすいノートです。
もしもに備える安心ノート
今の自分の情報を記入することで、病気や入院、災害、老後や終活など、日常生活で起こる“もしもの時”に役立つ危機管理ノートが完成します。簡単で書きやすく、リーズナブルなので、はじめてのエンディングノートとして最適です。
まとめ:エンディングノートで前向きな人生を
以上、エンディングノートを書く方法について見てきました。
エンディングノートは確かに普段書きなれない項目が多いので、最初は戸惑うかもしれません。しかし間違って書いても修正できますし、空欄があっても問題ありません。「全部記入しなければならない」という意識は一旦捨てて、埋められるところから埋めていきましょう。
ある程度エンディングノートを書けば、意外と心もスッキリして前向きになれるものです。
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