先日、一般社団法人 終活協議会が主催する「終活セミナー認定講師講座」を受講しました。この講座は、終活ガイドの仕事に深くかかわるものですので、ここで内容を紹介したいと思います。
先の記事「終活ガイド1級の仕事は「終活相談」や「セミナー講師」が主体」で、終活ガイドになったらどういう仕事があるのかについて解説しました。
この記事でも紹介した「終活セミナー認定講師講座」を詳しく解説します。
本記事を読むことで、以下の内容を理解できます。
- 終活セミナー認定講師講座とは
- 講座の内容
- 講座受講後はどうするのか
では早速見ていきましょう。
終活セミナー認定講師講座とは
終活セミナー認定講師講座とは、一般社団法人 終活協議会が提供している「終活の先生になるための養成講座」です。
この講座の概要は以下です。
受講資格 | 誰でも受講可能 |
受講目的 | 終活セミナー講師、または終活ガイド検定講座(3級)の講師になること |
受講料 | 10,000円(終活ガイド上級者は無料) |
受講時間 | 2時間 |
受講方法 | Zoomによるオンライン講義 |
受講後 | 終活協議会で受講者情報を登録後、活動可能 |
受講資格は特にありませんが、終活ガイド1級、2級、または3級の資格を持つ人、または、終活ガイド資格は持たないが「終活セミナー」を開催したい人が受講しています。
受講目的は?
受講者の目的は、「終活を語れるセミナー講師になる」ことです。
さらに、「終活ガイド検定講座(3級)の講師になる」ことも可能。終活ガイド検定講座(3級)とは、終活ガイド3級の資格を取得するための講座です。
終活セミナー認定講師講座の受講目的をまとめると、以下になります。
- 街の終活先生として、一般向けに終活セミナーを開催する講師になる
- 終活ガイド3級検定講座の講師になる
終活セミナー認定講師講座の内容
講座の内容を要約すると、以下になります。
- 講座内容の説明
- 終活ガイド初級(3級)で学ぶ項目を説明するYouTube動画を流す
- 終活ガイド3級検定講座のモデル講義
- Q&A
講座は2時間(途中15分ほどの休憩があります)。ただ今回の場合、Q&Aの時間が伸びて2時間以上かかりました。
講座内容の説明
ここでは以下のような説明がありました。
- 講座の目的は何か
- 誰に向けた講座なのか
- どのような項目を話すのか
ここで、「一般向け終活セミナー」と「終活ガイド検定講座(3級)」の違いを見てみましょう。
「一般向け終活セミナー」と「終活ガイド検定講座(3級)」の違い
この両者の内容はほぼ同一ですが、以下が異なります。
終活ガイド3級検定講座用PowerPointスライドとは、終活ガイド検定講座(3級)であることを示すスライドや、受講後にテストを受けるスライド(QRコード入り)があります。
このスライドは下記のように4ページあります。
PowerPointスライドの内容
肝心のスライドの中身ですが、以下の項目がカバーされています。
項目 | 内容 |
---|---|
終活について | 終活とは何か、終活の定義 |
終活の意義 | 終活でもたらされる4つの項目 |
終活の背景 | 少子高齢化、核家族化などの国のトレンド |
延命治療について | 人々の延命治療に対する考考え方 |
介護について | 介護保険制度、保険申請 |
認知症について | 認知症高齢者の推移、もの忘れとの違い |
年金について | 国民年金、厚生年金、企業年金構造 |
保険について | 公的年金、私的年金の種類と中身 |
遺言について | 自筆証書、公正証書、秘密証書それぞれの説明 |
相続について | 相続の第一順位、第二順位、第三順位 |
お葬式について | 一般的な流れ、お葬式の種類 |
お墓について | お墓の種類、墓じまいの増加 |
どれも終活セミナーを行う上で欠かせない項目です。終活セミナーで講師として語るには、これらを嚙み砕いて分かりやすく説明する必要があります。
PowerPointスライドに関する私の所感
PowerPointスライドを有効活用してセミナーで説明するには、以下を留意する必要があります。
- 「終活」という観点で、上述の項目をどう説明するのかが重要。単に「相続」「認知症」「介護」などを説明するだけでは「用語解説」でしかない。
- 表面的な説明ではセミナーがつまらなくなる。説明しない部分も含めて、事前に自分で十分に調べて勉強しておく必要がある。
- 終活協議会が用意するスライドは、あくまでも「テンプレート」。自分の味付けで説明するには、スライドの「カスタマイズ」が欠かせない。(後述します)
スライドは自由にカスタマイズしてよい
講座を受講すると、終活協議会が作成したPowerPointスライド(前述)を入手できます。このスライドは、一般向けの終活セミナーや終活ガイド検定講座(3級)に活用できます。
ページ数は13ページあります(終活ガイド3級検定講座用スライド4枚を除く)。このスライドは自由にカスタマイズ可能。また、講師によっては自分のプロフィールを1枚追加する人もいます。
これはありがたいことです。セミナー講演をした経験からすると、他人が作成したスライドは話しにくいものです。これは他人のスライドが悪いという意味ではなく、自分なりのストーリーを語るときには他人のスライドではやりにくいということです。
終活ガイド初級(3級)で学ぶ項目を説明するYouTube動画を流す
講義の途中に、終活協議会が作成した「【講座ガイド】終活ガイド初級!終活の全てが学べる動画!」を上映します。
動画はYouTubeで公開されており、誰でも見ることができます。
講師の方は、この動画をすべて見せるのではなく、ポイント部分をかいつまんで見せていました。この動画内容は、上述したスライドの中身に沿って説明されています。そのため、プレゼンを行う際に参考になる内容です。
講師によるモデル講義
その後、実際のスライドを使って終活セミナー認定講師講座の講師によるモデル講義がありました。
終活セミナーの時間は40分が想定されています。講師の方は、「このスライドの項目を説明するときはこうした内容も紹介すると良い」などのアドバイスを交えながらモデル講義をしていました。
こうした講師によるモデル講義は参考になります。ただ、「PowerPointスライドに関する私の所感」で指摘したように、講師の方の指摘するポイントを参考にして、自分なりの喋りは確立しておくべきでしょう。
講座受講後はどのように活動していくのか
講座を受講後は、終活協議会に自分の名前を登録すれば、終活セミナーの認定講師として活躍できるようになります。名刺にも「終活セミナー認定講師」の肩書を入れることができます。
終活セミナーを開く場合は、以下のような例があります。
- 地元で会議室を借りて終活セミナーを開催
- 会社で終活講座を開催
- 自治会やコミュニティで終活勉強会を実施
- オンラインで終活ウェビナーを開催
以下のような留意点や課題もあります。
- コロナ禍の状況次第で、「対面セミナー」の開催は厳くなるケースがあります。
- コロナ禍が収束しない間はオンライン開催という手もあります。その場合、講師はZoomやTeams、Webex等でウェビナー開催のおぜん立てを行う必要があります。また、参加者もオンライン参加するだけのITリテラシーが要求されます。
- 対面であれオンラインであれ、「集客」は常に課題です。終活協議会からのサポートはありますが、自分でもある程度の集客をしないと「参加者が集まらない」という事態に陥る可能性があります。
終活セミナーは、いきなり不特定多数の人を集客して開催するよりは、地元の自治会やコミュニティなどで少人数を相手に始めるほうが現実的でしょう。
Q&Aで出た重要な指摘
最後に、終活セミナー認定講座のQ&Aで講師の方が指摘していたコメントを紹介しましょう。
講座の参加者から、以下のような質問がありました。
認定講師が終活セミナーをやっていて、何か問題が発生したことはありますか?
それに対する講師の方の回答は以下です。
講師の方が推測で「こうだろう」と思ったことを相手に言って、あとで間違いだったことはあります。もし分からないことがあれば終活協議会に遠慮なく相談していただきたいと思います。
これは重要な指摘です。分からなければ「後で回答します」として持ち帰り、自分で調べるなり終活協議会に確認することが必要です。
セミナー講師になるには「終活の知識」だけでは不十分
セミナー講師として活躍するには、終活の知識を持っているだけでは十分ではありません。喋り方、ロジカルなプレゼン構成、分かりやすく共感を呼ぶような内容の作成など、様々な要素が絡んできます。
以下のような本で「セミナー講師」に関して勉強しておくと、長い目で見れば安定して「終活セミナー講師」として活躍できるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
以上、終活セミナー認定講師講座について解説してきました。私としては終活の知識だけでなく、終活セミナーをどう組み立てていくか、集客はどうするか、など学んだ部分が数多くありました。
コロナ禍が収束されないうちは課題の多い状況ですが、一つ一つ克服しながら前進したいという思いを新たにしました。
なお、終活ガイド上級を取得しておくと終活セミナー以外の活動も可能ですので、興味があれば検討ください。
コメント