- 会議を開催するときに、気をつけるポイントとは何か
- 会議を実りあるものにしたい
- 会議の参加者も満足するような会議を開催したい
このように考えている人は、本記事が参考になるかもしれません。
会議は「やらずに済ませられれば、それがベスト」ではありますが、会議なしでは仕事が回らないことが多々あります。その意味で会社員にとっては、会議は重要な「仕事」の一つと言えるでしょう。
それほど重要と言える「会議」ですが、会議の進め方が不慣れな人や、会議での発言が苦手な人もいます。また会議が必要以上に長引いたり、「会議をしたけれど何も決まらなかった」というケースもあります。
本記事では、そうした課題を解消するための「実りのある会議を行うための方法」を考察します。私が長年外資系企業で会議を行ってきたノウハウやコツを披露します。
会議の満足度はどの程度なの?
興味深い調査結果があります。株式会社アイランドクレアが「会議意識調査」を2019年6月に実施したところ、以下のような結果でした。
会議に対するお悩み1位は、「発言する人がだいたい決まっている」(48%)、3位には「あまり議論が白熱しない」が32%と、会議に対して消極的な姿勢が目立つ結果となりました。
会議に対する満足度を5段階で表した回答項目では、満足度が低い1と2を回答した割合が20人以下の規模の会社は32%、500人以上規模の会社は43%と従業員規模が多くなるほど、会議に満足していない割合が高い傾向にあることが分かりました。
また、役職毎に会議に対する満足度を集計した結果では不満を感じていると回答した社員は33%であるのに対し、経営者、役員層は71%と2倍以上の割合で会議に不満を感じていることも分かりました。
株式会社アイランドクレア 会議意識調査 2019年6月
「発言する人がだいたい決まっている」「あまり議論が白熱しない」など、議論に関する悩みが多いことが分かります。
しかし、会議の主催者は目的を達成すれば良く、「議論が白熱したかどうか」は重要ではありません。ただし会議主催者は会議で「参加者の意見や発言を引き出す」ことが必要であり、それが目的を達成するための手段の一つになります。
会議の主催は7つのステップで考える
最初に、自分が会議の主催者になる場合、どのような手順で会議を進めていくべきか、について考えてみましょう。
要約すると、手順は以下となります。
(1) 会議の目的・達成したいことを考える
会議の開催者は、会議を主催する場合、必ず目的を持っています。例えば以下のような内容です。
- イベントをやることになった。関係者にロジスティクス(製品展示やポスター制作など)のサポートやセミナー講師、製品デモ環境の準備を依頼するために会議したい
- 来期の予算について、計画内容を発表したい。予算承認や活動支援を得ることが目的
- 売上を増やす営業施策について、ブレーンストーミングをしたい。アイディアを出し合って、良いものを実行に移す
何らかのアクションを起こすときは、参加者からの支援・協力が必要です。彼らにアクションの背景を説明して、支援・協力を引き出すことが会議の目的となります。
会議を開催するときは、「会議で達成したいこと」をメモします。上記1の例で言うと、下記のようになります。
- 背景説明:○○月にイベントを実施する。目的は見込み客の獲得
- 必要な支援・協力:ロジスティクス、セミナー講師、製品デモ環境の準備
- ロードマップ:各アクションをいつまでに決定・準備するかを決める
これらの項目がそのまま「会議のアジェンダ」になります。アジェンダを考えるときは、「この内容で30分(例えば)で終わるのか?30分で終わりにするにはどうすれば良いか」も考えます。そうすることで、会議のシナリオも見えてきます。
(2) 参加者の選定
「会議で達成したいこと」を洗い出したら、そのために必要な参加者を考えます。その際に重要なことは、「なるべく最低限の人数」にすることです。理想は3~5名くらいでしょう。
理由は以下です。
- なるべく時間をかけずに意思決定したい。人数が増えると議論があちこちに飛んで長引き、最悪結論が出ないこともある
- 参加に必須の人以外は、その人にとって「時間の無駄」になる。なるべく「任意出席者」は入れないほうが良い
「会議で決めたい項目に必須の人は誰か」を考えて参加者を選びます。
(3) 会議時間を決める
次に会議時間を決めます。ここでは以下のポイントを押さえます。
- なるべく30分で終わるようにする
- 参加者の会議前後のスケジュールを見て、相手に無理のない時間帯で招集する
お互い多忙なので、会議は30分で済ませられればベストです。ただ議題によっては時間がかかる会議もありますので、その場合は45分や60分という選択もありでしょう。
会議招集の際は、参加者のスケジュールを必ずチェックします。参加者のスケジュールに余裕がない場合は余裕があるときを見つけますが、会議の緊急性が高い場合はやむなく無理に入れる(前後のスケジュールの空き時間がなく余裕がない)ときもあります。
(4) Outlookで招待する
アジェンダ、参加者、時間が決まったらOutlookのようなツールで参加者を招待します。その際、件名を工夫し、アジェンダを必ず入れます。
私が会議の参加者を招待する場合に注意している点は以下です。
- メールで案内する際の件名を工夫する
- 会議の議題は必ず入れる
- 時間の余裕をもって案内する
- 会議時間はなるべく短く設定する
- 会議出席者はキーマンだけにする
会議の招待については、細かく見ていくと注意すべきポイントが幾つもあります。詳細については、「【会議の案内】会議を成功させる5つの施策とは」で徹底解説していますので、併せてご覧ください。
やむを得ずリスケする場合はどうするか
参加者の都合でリスケしなければならない場合は、速やかに行います。参加者の都合が合う日付を見つけて、再送します。その際、「都合の悪い人がいましたのでこの時間にリスケします」と一言入れておきましょう。
(5) 会議資料を作る
会議までに会議資料を作りましょう。PowerPointでもWordでもExcelでも構いませんが、可能であればPowerPointで作ると会議の内容を伝えやすくなりますし、自分自身の思考整理にもなります。
会議資料を作るときのポイント
資料は、アジェンダの内容に沿って作成します。シンプルに考えれば、「アジェンダの内容がそのまま会議資料にもなる」と言えるでしょう。PowerPointでまとめても良いですが、簡単なメモ書きでも十分です。
ポイントは、会議を進める際に、その資料を参加者に見せながら議論するという点です。
(6) 会議を実施する
いよいよ会議の実施です。会議の主催者は、会議の目的を達成するために、以下のような項目に注意しながら会議を進めます。
- 会議開催の背景をコンパクトに説明する
- 支援・協力を得るための依頼をする
- 時間内に議論が終わるように気をつける
- 参加者がまんべんなく発言しているかに気を配る
また、ダラダラと長時間の会議になりそうなときは、以下の点に注意を払い、会議の主催者として能動的に仕切りながら進行させてください。
- 話が横道にそれる
- 特定の議題で議論が長くなる
- 特定の人が長々としゃべる
- いろいろな意見が出て収拾がつかなくなる
オンライン会議と対面会議で実施内容に違いはあるのか?
オンライン会議と対面会議でも、基本的な実施内容は変わりありません。私の経験では、会議の進行をきちんと管理すればオンラインでも対面でもあまり差異は出ませんでした。
株式会社ビズヒッツが実施した「WEB会議の悩みに関する意識調査」では、以下の結果が出ています。
WEB会議の経験者527人に、WEB会議と対面会議のどちらがいいかを質問、回答いただきました。
結果、「対面会議の方がいい」と回答した人が52%とわずかに上回りました。
株式会社ビズヒッツ 『WEB会議と対面会議のどちらがいいか』 2020年10月
確かに対面のほうが参加者の表情やしぐさを見ながら議論できます。しかし私の経験では、事前に目的やアジェンダを考えて会議に臨めば、オンラインでも十分成果は見込めます。
(7) 議事録を参加者に送信する
会議後は、議論した内容を簡潔にまとめて議事録を参加者に送信します。議事録は詳しく記載する必要はなく、ポイントだけを羅列した内容でOKです。
ポイントは以下です。
- 会議で決定したこと
- 誰がいつまでにアクションアイテムをフォローするか
議事録送信は会議後、早ければ早いほど良いです。会議後に時間が経つと記憶があいまいになってしまいます。
まとめ
以上、会議の主催者の立場から、会議について考察してきました。
会議については、参加する人よりも開催する人のほうがより神経を使います。一方、開催する手順や進め方は毎回同じなので、テンプレート化できます。ですので会議を重ねていけば慣れてくるでしょう。
最後に、より詳しく会議の開催方法について知りたい人は、以下の3つの書籍が役立ちます。私も参考にしました。
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