終活のスペシャリストを目指している。終活の勉強範囲は広いので、どこを押さえて勉強したらよいのかわからない
終活スペシャリストとして活躍するために、どの程度の知識を身につけておくべきか?
このように考える人も多いと思います。
そこで今回は、「終活スペシャリストになるための勉強法」について考察します。本記事を読むことで、以下の知識がわかるようになります。
- 終活スペシャリストに必要な勉強項目
- 終活スペシャリストの役割
では以下見ていきましょう。
終活スペシャリストとは「身近で相談できる終活のプロ」
まず「終活のスペシャリスト」とは何かについて考えてみましょう。
一般社団法人 終活協議会 代表理事の竹内義彦氏はご自身の著書で、終活のスペシャリストについて以下のように言及しています。
終活の要素は多岐にわたっており、ご高齢になってそろそろ終活をしようかと思っても、書類手続きや決断をしなければならないことが多く、自力で行うのはかなり大変な作業です。近くに信頼できる「自分より心身ともにしっかりしている知人」がいない高齢者が増加するなかで、終活の知識をきちんと身につけて終活のお手伝いをするプロ「終活スペシャリスト」の需要が高まっています。
出典:幻冬舎、終活スペシャリストになろう、竹内義彦著、2021年、p21
この竹内さんの本「終活スペシャリストになろう」は、終活のスペシャリストになるための方法を分かりやすく解説した本です。よかったら読んでみてください。
つまり終活スペシャリストは、終活を始めたい高齢者に身近に存在し、相談できる「終活のプロ」ということですね。
竹内さんの言うように、終活の要素は多岐にわたります。弁護士や税理士のような深い専門知識までは必ずしも必要ありませんが、多方面で幅広い知識を持つことが必要になります。
以上を踏まえたうえで、終活スペシャリストに必要な勉強項目を見てみましょう。
終活スペシャリストとして押さえておきたい6つの項目
終活協議会の竹内さんは、彼の著書の中で以下のように述べています。
終活の内容は多岐にわたりますが、終活スペシャリストとして知っておきたい基本的なジャンルは、①医療、②介護、③保険、④相続、⑤葬儀、⑥お墓の6つです。
出典:幻冬舎、「終活スペシャリストになろう」竹内義彦著、2021年、p60
本記事でも、勉強に必要な項目は上記6つに焦点を当てて解説します。
ここで、以下のような疑問を持つ人もいると思います。
医療や保険といっても、範囲が広すぎるのでは?どこをどう勉強すれば良いのか?全部は無理。。
得意分野でないものもあるので、一つ一つ勉強すると退屈しそうで頭に入らない。これは挫折するかな。。
私自身が勉強するときにも同じように感じました。ではどこから手を付けたら良いのでしょうか?
6つの項目を終活視点で見直す
私は以下のように見直すようにしました。ポイントは、「終活視点で各項目を見直す」ことです。
- 「存命中にかかわること」と「逝去後にかかわること」の分類を作る
- 上記の6つのポイントをこれら2つのカテゴリーのどちらかに入れる
これらをやると、勉強すべき項目が整理されます。
6つの項目を「終活」というフィルターで見ていくと、こうなります。
このように考えると全体像が見えやすくなるため、無造作に各項目の知識を詰め込もうとするよりは覚えやすいはずです。
医療
ここでのポイントは、「人生の終末期をどこでどのように過ごしたいのか」という問いを、「医療」という観点から考えることです。
また、がん治療の場合は、「医療情報サービスの活用」や「セカンドオピニオンを聞く」といった項目も考慮ポイントです。
例えば:
- 医療情報サービスの活用
- がん専門医についての情報取得方法
- がん告知は受けたいか?
- 終末期の「本人希望」の選択肢を整理しておく
- 過ごしたい場所は?自宅?ホスピス?病院?
- 緩和ケアは?
- 万一のときの延命治療は望むのか?
- 尊厳死やリビングウィルについての知識習得
終末期のことは、終活する本人だけでなく、家族もあまり考えたくない項目かもしれません。だからこそ、本人が元気なうちに考えておくべき項目です。
介護
介護については、以下のポイントを押さえます。
- 対象となる被保険者の種類
- 第1号・第2号被保険者
- 要介護・要支援認定の方法
- 申請、判定、有効期間
- 介護7段階の目安
- ケアプラン作成
- 介護サービスの内容
- 自宅に居ながら受けるサービス
- 自宅だけで受けるサービス
- 施設に通いながら受けるサービス
- 施設に入所して受けるサービス
- 高齢者施設の種類を整理(要介護者向け・自立者向け)
- 公的施設
- 民間施設
- 認知症の人への対応
- 高齢者施設の種類を整理(要介護者向け・自立者向け)
- 自宅に居ながら受けるサービス
- 介護サービスの費用
- 段階ごと
- 収入ごと
- 利用限度の存在(支給限度額)
介護の内容は複雑かつ広範囲なので、整理したうえで分かりやすく終活する人に伝える必要があります。
保険
終活の際に保険を考える理由は何でしょうか?
それはいざというときの入院費や治療費で慌てないように、保険の種類や保障内容を理解しておくためです。
また、意外と「保険自体に入っていることを忘れていた」というケースもあります。加入している保険の棚卸しを行うことで、保障内容の確認やもらい忘れの防止が可能です。
以下のポイントを押さえておきます。
- 公的保険の種類と保障内容
- 健康保険
- 年金(老齢年金、遺族年金、障害年金)
- 介護保険
- 労災保険
- 雇用保険
- 民間保険の種類と保障内容
- 死亡保険
- 医療保険
- 介護保険
- 個人年金
- 現状の保険内容把握
- 終活者は何の保険に入っているか
医療費が高額になる場合は、自己負担限度額を超えた部分は後で払い戻される制度があります。また、民間の保険で「先進医療」の費用を保障するものもあります。終活スペシャリストとしては押さえたいポイントの一つです。
相続
終活と言えば相続を真っ先に思い浮かべる人は多いでしょう。そのくらい相続は終活の重要な要素の一つです。生前から相続税対策をする人もいます。
相続では「もめない遺産分割」が一番大事な要素です。そのためには、現在の法定相続制度や遺言、後見制度などの基本を押さえておきましょう。
相続のポイントは以下となります。
- 被相続人と法定相続人
- 相続税
- 遺言(自筆証書、公正証書、秘密証書)
- 成年後見制度
相続に関しては、被相続人が元気なときに家族で話しておくのが一番です。
葬儀
葬儀をとりおこなう遺族は、多くの場合経験や知識に乏しい人たちです。そういう人たちに、葬儀の流れや種類について分かりやすく説明できるようにしておきます。
近年の高齢化やコロナ禍などにより、葬儀が年々簡素化されています。葬儀について相談を受けたら、希望内容を聞いたうえで選択肢をアドバイスをします。
終活のスペシャリストとしては、以下の項目を把握しておきましょう。
- 葬儀のプロセス・流れ
- 誰を呼ぶのか
- 葬儀の種類
- 一般葬、家族葬、一日葬、直葬(火葬式)、お別れ会
- 葬儀費用
葬儀費用は重要な関心事です。葬式費用にまつわるトラブルで消費生活センターに相談するケースが後を絶ちません。そのためにも、生前に情報を収集したり、形式や誰を呼ぶかなどを考えておくことは有益です。
お墓
少子高齢化や未婚率上昇により、お墓や埋葬の選び方や、「墓の継承問題」などが増えています。お墓の種類も増えて、昔ながらの埋葬方法にこだわらない人も多くなりました。
多様化している現代のお墓事情や、それぞれの種類のメリット・デメリットを把握しておきましょう。
- 墓地の種類
- 一般墓(寺院、公営、民営)
- 永代供養墓・合祀墓
- 納骨堂
- 樹木葬
- 散骨
- 手元供養
- 墓の継承問題(墓じまい、改葬)
逝去後にどういうお墓に入るのかを元気なうちに決めておくことが理想です。終活している人の希望がある場合は、それに沿った墓を検討することになります。
勉強項目のまとめ
以上のすべての項目をまとめると、以下のようになります。
終活スペシャリストの存在意義
以上、終活スペシャリストが押さえておくべき勉強項目を見てきました。
ここで以下のような疑問を持つ人もいるでしょう。
終活スペシャリストの勉強項目は分かった。でも介護や相続などはそれぞれの専門家がいる。終活のスペシャリストに相談しなくても、最初からそれぞれの専門家に行けば良いのでは?
それに対する私の答えは以下です。
確かに専門知識の深さでは各々の専門家にはかないません。しかし例えば税理士の人が介護にも詳しいとは限りません。終活のスペシャリストは、終活に関わる各分野で横断的な知識を持ち、幅広いアドバイスが可能です。その際、必要に応じて各々の専門家につなぐための架け橋という役割も持ちます。
とはいえ、終活に関連する資格を取得するだけでなく、例えばファイナンシャルプランナーや行政書士などの資格も保持することで、より円滑な活動ができるようになります。
終活スペシャリストの役割は3つ
ここで終活スペシャリストの役割を見てみましょう。役割としては以下の3つがあります。
- 「終活に関するさまざまな情報」を終活する人にわかりやすく伝える
- 終活する人に悩みを解決するための必要なアクションを促す
- 終活の総合相談窓口として各方面の専門家につなぐ懸け橋になる
「終活に関するさまざまな情報」を終活する人に分かりやすく伝える
一口に「終活」といっても、さまざまな側面があるのは前述のとおりです。
例えば、生前に葬儀やお墓の話題をすると、中には「そんなに早死にさせたいのか」と考える人が出てきます。こうしたことが「終活=後ろ向きな活動」のイメージにつながっています。
確かに専門知識の深さでは各々の専門家にはかないません。しかし例えば税理士の人が介護にも詳しいとは限りません。終活のスペシャリストは、終活に関わる各分野で横断的な知識を持ち、幅広いアドバイスが可能です。その際、必要に応じて各々の専門家につなぐための架け橋という役割も持ちます。
終活の本質は、「転ばぬ先の杖」と「準備万端にして残りの人生を楽しむ」の2つです。この本質を分かってもらえるよう、終活する人に説明することが肝要です。
終活する人に必要なアクションを促す
終活に関する情報を分かりやすく伝えたら、終活する人に悩みを解決するために必要なアクションをしてもらいます。
例えば下記のような項目があります。
- 高齢者向け施設に入らなければならなくなった
- 介護認定をして、介護状態に応じた適切な施設を探して入所する
- 生前にお墓を選びたい
- 希望のお墓を選ぶ
- 葬儀や相続に関してエンディングノートに書く
終活の総合相談窓口として各専門家につなぐための架け橋となる
前述のとおり、各分野で専門家が必要な場合は、それぞれの専門家を紹介してつなぎます。
私が取得している「終活ガイド1級」資格においては、資格取得者は一般社団法人 終活協議会によるバックアップを受けることが可能です。各方面の専門家へのつなぎのサポートを受けられます。
終活ガイド資格を取得する際は、基礎知識の修得として以下の本を読むのも良いでしょう。
まとめ
以上、終活のスペシャリストが勉強すべき項目や役割について見てきました。
今まで見てきた通り、勉強すべき範囲は広いですが、身につければ終活のスペシャリストとして強力な武器になります。終活ガイド上級になれば、終活協議会が提供する豊富な教材を使って継続的に勉強できますので、活用すべきでしょう。
コメント
Thanks for your blog, nice to read. Do not stop.